自分を含めた家族の長期プラン、その間の経済状況と資産運用環境により、実行して良かった事と拙かった事は個人で異なると思います。そこで、①年齢に関係なく誰にも共通に言える事 ②私が経験した約40年間の資産運用環境で言える事に分けて振り返ります。
1.年齢に関係なく誰にも共通に言える事
①できる限り長期のプランを家族と相談して決めておく。お金が必要になる時期に合わせた資産形成&運用をするためです。
②早い時期に少額でも良いので貯蓄だけではなく投資を経験しておく。
③いつでもタイムリーに全ての資産を売買できるよう準備しておく。資産価値は市場で刻々と変わるからです。グローバルに考えると、銀行預金も円安になれば価値が下がります。具体的には全ての金融資産を証券会社の口座で纏めて管理し、いつでもネットで売買できる様にしておくのです。銀行の定期預金で管理するのはもっとも危険です。銀行に取って預金は負債で、倒産の際には一千万円までしか保証されないからです。更に言うなら名目金利が概ねゼロの現在、インフレ率だけ実質金利はマイナスになるからです。
2.私が経験した約40年間の資産運用環境で言える事
①私の様に60歳以上の方は、金融資産の運用を余り意識する必要は無かったと思います。バブル崩壊までの安定した経済成長の時代~金融機関の倒産を経てデフレ経済に至るまでインフレ率を上回る名目金利でしたし、デフレ経済が定着した98年から15年間は低いながらも名目金利がプラスでデフレ分だけ実質金利が上乗せされた形になったからです。銀行や郵便貯金に預けておけば、何もしなくても預金の実質価値が高くなっていった訳です。一方でこの年代の方は、バブル絶頂の頃に家やマンションを購入された方も多く、資産を総合的に捉えると不動産で損を被ったのです。土地が高すぎて購入しなかったとか、将来の人口減少を考慮し何れは下がると判断し購入しなかった方はラッキーだったのです。
②NTT株が上場された85年、東証は旧から新取引所に移転しました。その際、私は仕事の関係で東証に半年間常駐しました。それまで東証一部の一日当たり売買高は4憶株程度でしたが、それを契機に10憶株を超える様になりました。東証や証券会社の方達とも親しくなり、色々な事を教え合ったりしました。その時に「会社の持株会に入られた方が良いですよ」と言われたので、毎月2万円を投資することにしました。今から思うと、日経平均株価が右肩上がりの時代ですから当然です。インターネットバブルの時に平均購入価格の二倍になった所で売却しましたが、郵便局の定額貯金が10年で2倍になる時代でしたから、冷静になって考えると大したキャピタルゲインではありませんでした。社内持ち株会は会社が補助しているケースもある様ですが、私は余りお勧めしません。インサイダー取引の関係で、タイムリーに売却できないからです。それと何かその会社に固有のインシデントが発生すると、下落幅が大きくなってしまうからです。私は株の投資をする際は、個別銘柄は買わずETFにします。「ETFは投資ではない」と言われる方もおられますが、個人投資家が固有の企業を選別するのはリスクも大きいし難しいと考えているからです。
③内外の政策転換には要注意です。例えばアベノミクス、デフレ脱却のため金融緩和(米国も金融緩和を許した)→円安ドル高(幸いにして米国経済が堅調)→日経平均株価も上昇、何もしないでこの流れに乗らないと金融資産の価値が減少してしまいます。先にも述べた通り、円安ドル高は円の価値を下げてしまうからです。私はベースラインを購買力平価として、¥80~95程度までドルを購入しました。その後円安が進み為替差益を得ましたが、利益を得たとは思っていません。円の価値が下がる事に対するリスクヘッジをしただけです。ETFもそれに合わせて購入しておけば良かったと悔やんでおります。私達の世代はバブル崩壊を知っおり、リーマンショック後の株への投資には躊躇しました。
これからの時代に①~③の様なことが全て起こるかどうかは分かりませんが、自分の金融資産の価値だけは下がらない様にしたいものです。